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【起業編】起業するときに最低限、知っておくべき基礎知識 役員報酬

2017/09/28

 役員報酬とは?



会社を設立した時、税務上、まず初めに考えなければならいのが、役員報酬をいくらに設定するかということです。
役員報酬とは、役員(取締役や監査役)が会社からもらう給料のことです。
従業員であれば、給与・賃金・給与等の名称で呼ばれているものですが、
役員の場合役員報酬と呼ばれております。



法人税法上、従業員の給与と役員報酬は、取り扱いが大きく異なっております。
それは、役員、特に社長は、自分の給与を自由に決定できるということです。
もちろん、従業員の給与も労働法の制約はあるものの、自由に決定できますが、
通常、従業員の給料を意味なく多額に払うということは考えられないため、
特別な規制は行われておりません。一方、役員報酬については、
会社の利益が大きく出たときに、役員報酬を多く支払うという行為を禁止しております。

これは、役員報酬を自由に決定できるのであれば、年度末の利益をみて、多額の役員報酬を支払えば、会社の利益が少なくなり結果として法人税の支払金額が少なるなるため、これを禁止しているのです。

役員報酬は、➀定期同額給与、②事前確定届出給与、③利益連動給与の3つの場合のみ認めております。
認めているというのはどういうことかというと、支払うのは自由であるが、法人の経費と認めない、
つまり、法人税の金額は、少なくならないということです。

3つの場合がありますが、起業時または起業から数年経過の企業のほどんどは、定期同額給与しか採用していません。
そこで、一般的によく使われる、➀定期同額給与を見ていきましょう。



 定期同額給与とは?
 

法人税法では、役員報酬や役員賞与を「役員給与」といいますが、毎月、一定額を支給する役員報酬については、次の要件を満たせば、定期同額給与として損金算入が認められています


●定期同額給与の要件

 

1.支給時期が1ヶ月以下の一定の期間ごとであること(実務上は月払いが一般的)

2.その各支給時期における支給額が事業年度を通じて原則同額であること

●定期同額給与のポイント

・税務署への届出要件がないこともあり、多くの会社が、定期同額給与みのを採用している。
・事業年度開始から3カ月以内に役員報酬の金額を決定し、4カ月以内に支給を開始する。
・一度決定した役員報酬は、翌事業年度の開始から3か月以内に、それから先の役員報酬を決定すること。
・業績悪化により役員報酬を減額することはできるが、赤字になりそうだからという程度では認められません。

分かりやすくまとめると、次のようになります。

→毎月同額が基本、翌年度に3ヶ月以内であれば変更してもOK(変更後は一定)、業績悪化により役員報酬を減額するのはOK(年度内に業績回復により増加するのはNG)
 


 結局、役員報酬はどうすればいいのか?





定期同額給与については、なんとなる分かりましたよね?
では、実務上は、どのように考えればよいか見ていきたいと思います。

最初に、結論をご提示いたします。
1.年間の利益の範囲で、役員報酬を決定する
2.年間の利益が分からない、あるいは、赤字が予想されるのであれば、
  役員報酬をゼロにする(この場合、社保に加入できないが、源泉事務から解放される)
3.2の場合で、社保には加入したいのであれば、役員報酬を月額10万円程度以上に設定する
 (源泉事務は発生する)


今まで見てきた通り、役員報酬は、年度の初め(3か月以内)に決定し、1年間は、その金額で支給していく必要があるため、年間の利益が分かっている場合には、損失が発生しない範囲で、役員報酬を決定すればよいこといなります。

一方、初年度であり会社の業績がどうなるかわからないということも多くあり、
損失が発生しない範囲の役員報酬が分からないということも非常に多いと思います。

そのような場合、思いきって、役員報酬をゼロにするという方法があります。
売上が、もしかしたら、設立から数カ月、計上されないかもしれない場合には特に有効です。
これは役員の生活費が、貯えから捻出できる場合限定の対応ですが、最悪、生活ができなくなれば、会社から借りるという方法もあります(あまり褒められた対応ではありませんが・・・)。

その後、1年間経過したところで、役員報酬をいくらにするか決定すればよいのです。
ただし注意しなければならならないのは、社会保険です。
会社は、社長1人の場合でも社会保険に加入する義務がありますが、役員報酬がゼロの場合には、加入することができません。そのため、その役員は、国民年金・国民健康保険に加入する義務があり、例えば、配偶者が専業主婦であれば、配偶者もご自身で、国民年金・国民健康保険に加入する必要が発生します。つまり、社保から外れるということは、会社員の妻、いわゆる3号被保険者からも外れてしまいます。

社会保険の問題がクリアできるのであれば、役員報酬ゼロも選択肢としては、ありです。
社会保険には加入したいということであれば、年金保険料も発生する月額10万円程度の役員報酬とすることも考えられます。

また、別の問題ですが、役員報酬を支給するということは所得税の源泉徴収を会社で行う必要が出てきます。つまり、会社が役員に役員報酬を支払う際に、源泉所得税を差し引いて支給を行い、差し引いた源泉所得税は、税務署に別途納付する手続が発生します。
いずれは会社から報酬をとることになるため、将来結局は、源泉事務が発生するのですが、最初の1年は、事務処理は考えす、事業に邁進したいという場合は、源泉事務の観点からも、役員報酬をゼロとするメリットはあります。

役員報酬は、人ごとに支給しますので、社長の報酬はゼロとして、他の役員には、役員報酬を支給するという形態も可能です。

如何だったでしょうか?
役員報酬決定の参考にしてください。

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文責:諏訪祐一郎