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【起業編】起業するときに最低限、知っておくべき基礎知識 経費と固定資産

2018/04/03

経費と固定資産



経費と固定資産の違いは何でしょうか?
例えば、パソコンや事務用机等は、固定資産のような気がするけれども、事務用のハサミやコピー用紙等は、経費のような気がしませんか?
ざっくりいうと固定資産とは、使い捨てでなく長く使用し、そして、少々値が張るものです。
そのため、例えば、電卓やハサミは、使い捨てではないですが、それほど値段はしないので経費となりません。

税務上、固定資産にしなくてもよいもの、つまり、経費とできるものに定義がありまして、①その使用可能期間が1年未満のもの、or ②10万円未満のもの、については、経費とできます。
実務上、1年未満の使用しかできないもので、10万円以上するものは、あまりお目にかかりませんので、10万円以上のものが、固定資産だと考えて頂ければOKです。

でも、その前に、そもそも、経費となるか固定資産になるかの判定がなぜ必要なのか、しっかり理解してますか?
この記事は、基礎知識を取り扱っておりますので、そのあたりも次に解説したいと思います。

 



経費になるって、どういうこと?
 

①経費になる場合
ではまず経費になる場合から見ていこうと思います。
下図の例では、売上が1,000万円あり、仕入に係る費用等が500万円、経費か固定資産か判断しなければならない項目が、合計で200万円あった場合です。
この200万円をすべて経費とするならば、1,000万円から500万円と200万円を
引いた300万円が利益となり、
そこに税率(40%と仮定)を乗じて120万円が税金となります。
利益300万円から税金120万円を引くと180万円ですから、最終利益とお金の残金が一致します。





②固定資産になる場合
次に、経費か固定資産か判断しなければならない金額200万円が、すべて、固定資産であった場合には、下図のようになります。
先ほどの200万円が経費とならないため、売上1,000万円から500万円引いた、500万円が利益となり税率(40%と仮定)を乗じた200万円が税金となります(減価償却は無視しています)。
ただし、先ほどの200万円は経費になろうと固定資産になろうとお金の支払いをしなければならないという点では同じですので、①の場合と比べると、ただ単に、税金の支払いが80万円増加し、その結果、お金の残金も80万円少なくなってしまいます。
経費とするか固定資産とするかの判断だけで、税金が80万円も変わってしまします。。
恐ろしいですね。
(参考までに。とはいえ、固定資産となった200万円も数年をかけて経費にできますので、長い目で見れば税金の支払いが同じになるという説明がなされる場合もありますが、実際には、税金の支払いが先行すること、また、利益が大きくなると税率が高くなる場合があるため、トータルの税金は多くなることもあります。)





以上のように、一般的に、固定資産とするよりも経費とした方が、税金の支払いが少なくする、または、支払いを延期する効果があるため、資金繰りの観点からも経費とした方が有利な場合が多いです。
では、経費とするか固定資産とするかにどういう違いが出るか理解したところで、固定資産に関する取扱いを次に解説したいと思います。



固定資産に関する取扱い



先に申しておきますと、少々ややこしいです。
なぜややこしいかといいますと、原則的な取り扱いとそれとは別に中小規模会社には特例が認められており、中小規模会社は特例を採用する方が圧倒的に有利ですが、特例を説明する前には、原則の説明を一般的に行うからです。
この記事では、分かりやすさを重視して、特例のみの説明をします。

さきほど、10万円未満のものは固定資産ではなく経費にできると説明しましたが、中小会社は、それが、30万円未満に、引き上げられております。
はい、以上です(笑)
原則の説明をしないとこれだけになります。
先ほど説明したように、経費と固定資産では、経費のほうが資金繰りの面で有利でしたよね?
その有利な取り扱いが、30万円未満まで拡大されております。
この30万円は、1つ、または、1組等の使用単位が30万円ですから、創業当初に購入するパソコンや椅子、机、キャビネット等の事務用の備品であれば、ほとんど経費になります。

ただし、10万円未満でなく30万円未満を経費に処理するためには、いくつか、条件がありますので、それは、しっかり理解しておく必要があります。条件は、以下の通りです。

 
  • 青色申告の届出を提出していること
  • 年間購入金額が300万円以下
  • その他(中小会社(資本金1億円以下の会社)であること、申告書に明細書を添付すること等)

従業員を設立当初に10名以上雇用して、パソコン、椅子、机等々を購入して・・・ということがなければ、通常、300万円未満に収まりますし、この300万円というのは、10万円以上の金額ですので、10万円未満の購入は、ノーカウントになります(蛇足ですが、10万円未満の購入はいくら行ってもすべて経費になります)。そのため、かなり使い勝手の良い特例です。
そう考えると、青色申告の届出を提出することが、多くの会社にとっての必須条件となりますね。



結局、何を注意すればいいの?




注意点はただ一つ、青色申告の届出をしっかり提出することです。
以上(笑)。

非常に簡単に説明すると、そうですが、企業の拡大を考えると、色々と検討が必要になります。
30万円未満の経費を300万円までは、経費に落とせるわけですが、初期設備を△△一式として、30万円以上で購入しており、その明細がない場合は、原則として、30万円以上の固定資産として処理せざるを得ないかと思います。
また、300万円以上となった場合には、300万円までは、経費処理できますが、300万円を超える取得については、原則的な取り扱いとなりますので、金額が多額になる場合には、税負担に差が生じます。

そこで、記憶に留めておいて頂きたいのは次の事項です。

 
  • 青色申告の届け出は必ず行うこと
  • 30万円以上の固定資産の取得の際には、税務上のメリットをとれないということ
  • 10万円以上30万円未満の固定資産の購入は、年間300万円を超えると税務上のメリットが取れないということ
     
如何だったでしょうか?
貴社の事業活動の参考にしていただければ幸いです。

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文責:諏訪祐一郎